義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
ということは、聖さんが運んでくれたんだよね? 重かっただろうな……恥ずかしい。お姫様抱っこされるのがひとつの夢で妄想もたくさんしたけれど、覚えていないんじゃ意味がないし。
とりあえず、具合はまったく悪くないので「大丈夫、どこもおかしくないから。迷惑かけてごめんね」と謝った。
私が謝らなければいけないのはこれについてだけじゃない。ゆっくり上体を起こし、今しがた見ていた夢……いや、幼い頃の記憶を思い出して頭を垂れる。
「本当に、ごめんなさい。聖さんは約束守ってくれていたのに、私は全部、忘れてて……」
初めて会ったのは、家庭教師をするようになった中学時代だとずっと思っていたのに、まさか小さいときから一緒に遊んでくれていたなんて。
身体も結ばれたとき、聖さんが『そばにいるって約束しただろ』と言っていたのは、お互いに片親になったあのときに約束したことだったのだ。
聖さんは表情を緩め、「思い出してくれたんだな」と安堵したように私の頭を撫でる。
「信じられないかもしれないけど、昔から俺にとって六花が心の拠り所だったんだよ。六花がいるから頑張れたことがたくさんある。だから、今もこうしているのは自然なことなんだ」