義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
そうだよね、家でも社長って呼ぶのは変だし、かといってすぐにお父さんとは呼べないから……うん、私も雅臣さんにしよう。
心の中でそう決めていると、母がにこやかに私の顔を覗き込む。
「六花も嬉しいでしょう。ずっと慕ってる聖くんがお義兄さんになるのよ?」
「あ、うん、もちろん……!」
笑って頷いたものの、複雑な気持ちが渦巻く。義兄妹になればずっと一緒にいられる。それは嬉しいけれど、私が望むのはそういう関係ではないのだ。
「六花が義妹か……」
顎に手を当てた聖さんが、ひとり言を呟く。再び目を向けると視線がかち合い、私の肩がぴくりと跳ねる。
「そうなったら、今まで以上に甘やかしてしまいそうだ」
ふわりと微笑まれ、心臓が否応なく揺れ動いた。
声も表情も糖度が高く感じて、単純にドキドキしてしまう。けれど、彼が言っているのは〝義妹として〟だ。
聖さんは、私と義兄妹になってもショックではないのかな……。
それはつまり、自分が特別な女性としては見られていないのだと裏付けられたようで、誕生日に告白しようという意気込みは徐々に萎んでいった。