義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
でも、聖さんはわざわざ時間を取ろうとしてくれているみたいだ。それはもちろん、私のプレゼントを買うため。
その気持ちは本当に嬉しいけれど、私は欲しいものがなにかを伝えること──つまり、告白をするのは諦めると決めのだ。それに、そんなふうに優しくされると恋心が膨れてしまうから……。
「あの……もういいの! プレゼントは」
手のひらを向けてぎこちなく制すると、聖さんは怪訝そうに眉をひそめて「どうして?」と問いかけた。
私は引きつった笑みを浮かべ、なんとか建前の理由を並べる。
「師走だし仕事大変でしょ。それに義理とはいえ兄妹になるんだから、そんな特別なことしてもらわなくても」
「今抱えてる案件はそこまで難しくないから大丈夫。少し出かけるだけだし、兄妹だとしても普通のことだろう」
「そう、なんだけど……」
ぐぬぬ……そう言われてしまうと断りきれなくなってくる。あんまり拒否するのも変に思われるかな。
どうしようかとひとり悩み始めたとき、聖さんは前を向いてふうっと白い息を吐き出す。
「民法第七百三十四条を知りませんか?」
「へっ」
突然、堅苦しい言葉が飛び出したので、私はまぬけな声を漏らした。