義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
騒ぐ胸を静める私に、聖さんは優しい顔に戻って微笑む。
「結局は血の繋がりがない他人なんだ。義兄妹になったからって、なにも気にする必要はないよ。今まで通り、俺に甘えてくれていい」
彼が変わらない関係を続けようとしてくれているのは嬉しい。でも、まったく気にしないのは無理がある。
母と雅臣さんはきっと、私たちが兄妹になることを望んでいる。周りの人たちだって、義理とはいえ妹が兄を性愛の目で見ていると知ったら、気持ち悪く思うんじゃないだろうか。聖さんへの評判にも関わるかもしれない。
聖さんは、本当に私を妹のように思っているから平気なのだ。特別な異性として意識しているのは、私だけ。
やっぱり距離を置こう。そう決めて、胸の痛みを感じつつも笑顔を作り「ありがとう」と返す。
「プレゼントは本当にいいの。もうもらったから」
「え?」
「実は、これからも聖さんと会いたいってお願いしようと思ってたんだ。学生じゃなくなったら、もう聖さんとの繋がりもなくなっちゃいそうな気がして、寂しくて」
お願いの内容は少し違うけれど、ほぼほぼ本心だ。信憑性を高めるには真実を混ぜるといいと、どこかで聞いた。
「でも、これからは家族としてずっと一緒にいられる。こんなに嬉しいプレゼントはないよ」
彼を見上げて、精一杯の笑顔を向けた。どうか疑われませんように。