義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 車に乗り込み、十数分で聖さんが暮らすレジデンスに到着した。

 デザイン性の高い外観からしてハイグレードだ。シャンパンゴールドのルーバーが都会的な印象だが、派手すぎないので緑に囲まれた中軽井沢の町にもしっくりと馴染んでいる。

 ロビーには歓談スペースもあり、落ち着いた雰囲気だ。天井まである開放的な窓からはライトアップされた庭が見え、ここにも可愛らしいクリスマスツリーがあった。

 それを眺めて暴れる心臓をなんとか宥めようとしても一向に落ち着かず、むしろ鼓動は速まるばかり。これまで一度も部屋の中まで入ったことはないのだから。

 距離を取ろうとしたはずが、なぜ逆に縮まっているんだろうか……。

 混乱しているうちに、二階にある彼の部屋の前に来ており、オートロックのドアが開けられる。


「どうぞ」
「お、お邪魔します……」


 ぺこりとお辞儀をして挙動不審な動きで足を進める私に、彼はクスクスと笑った。

 思えば、男性の部屋に入るのは中学の頃に友達の家に数人で上がり込んだとき以来だ。興味津々で部屋中をぐるりと見回す。
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