義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
ほっとする甘さが口内にとろりと広がる。カップを持つ両手も身体も温まってきて、やっと緊張が解れてきていたそのとき。
「じゃあ六花、少し早いけど」
聖さんがなにやら動き出したので反射的に振り向いたのだが、なぜか「前を向いてて」と言われる。わけがわからないままその通りにしていると、ふいに彼の手が私の耳に触れた。
耳たぶを弄る手つきは優しいのに、驚いてビクッと肩が跳ねる。こんなふうに触れられた経験がないのだから、どうしていいかわからない。
「なっ、な、なに!?」
「じっとして」
吐息を交じらせたような低い声が耳元で響き、不快ではないゾクリとした感覚が背筋を走った。一体なにをしようとしているのか。
彼の指先の熱に意識が集中してしまい、唇をきゅっと結んで固まっていると、なにかが耳につけられる。
これは……ピアス?
呆気に取られる私に、聖さんは「はい、反対」と指示した。従順に彼のほうに身体を向けると、まるでキスするみたいに彼の顔が近づいてくる。
心拍数はさらに上昇。きゃー!と叫びたくなっているうちに反対の耳にも同じようにピアスがつけられ、私はやっと声を紡ぐ。