義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 頭の中で聖さんにも割烹着を着用させていると、小夏はお箸を片手に意味ありげな視線を向けてくる。


「なんにせよ、諦める必要はないんじゃないかなぁ。いくら優しい男だとはいえ、恋愛対象じゃない子にこんなプレゼント贈ったりしないと思うんだけど」


 ふいに、今日つけてきた雪の結晶のピアスを指で揺らされる。その瞬間、聖さんの部屋でのワンシーンが蘇って胸がざわめいた。

 言われてみればそうかもしれない……と期待してしまう単純な自分が恨めしい。彼にそんな下心があるとは思えないのに。

 すると、小夏は新たになにかを思いついたらしく、突然席を立つ。調理場のほうへ向かっていき、ほどなくして戻ってきた彼女の手には透明な瓶が握られていた。

 カウンターにドンと置かれたそれのラベルには、可愛らしいフォントで梅酒と書かれている。


「これ、すっごい美味しいの。もう飲めるようになったんだし、お酒の力を借りて誘惑するのもアリじゃない? 酔っ払えば自然にくっつけるかもよ」


 そういうことかと、うなだれる私。小夏はどうしても私を積極的にさせたいのね……。
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