義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
聖さんは、三十歳にして自身の法律事務所を経営しているエリート弁護士で。対する私、吉越六花 は短大の栄養学科に通う十九歳。
彼が未成年に手を出すことはないだろうし、それ以前にきっと恋愛対象には見られていない。紳士的で優しい人だから、甘くなるのは私にだけではないのだろう。
聖さんが家庭教師をしてくれるようになったのは、中学一年生の夏頃。勉強についていけなくなりそうな私を心配した母が、職場でよくしてくれていた上司に相談したらしい。
その人が『うちの息子は教えるのが好きだし面倒見がいいから、家庭教師を頼んでみるよ』と言い、聖さんも了承してくれたのがことの始まりだ。
のちに、母が相談した上司というのが水篠リゾートという会社の社長さんだと知ったときは驚愕した。彼らが運営しているリゾートホテルで働いていたとはいえただの清掃員だった母が、まさかトップの方と交流があったとは。
つまり、彼のひとり息子である聖さんは御曹司ということになる。私とは住む世界が違いすぎて、最初は気後れしてしまったっけ。