義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「遠いだろ」
「行ってみたい!」
聖さんと私の相反した声が重なり、顔を見合わせた。
生島足島神社は市を跨いで行かなければいけないから確かに少し遠いけれど、県内ではわりと有名な神社だし私は行ったことがないから興味がある。
雅臣さんはニヤリと口角を上げて、聖さんに視線を向ける。
「ほら、六花ちゃんは行きたがってるぞ?」
「誰も行かないとは言ってない」
無表情で即答する聖さんは、やっぱり私には甘くて皆で笑ってしまった。
一緒に暮らし始めてわかったけれど、聖さんは雅臣さんに対しては塩対応になるし、少年のような一面を見せるときもある。息子なのだから当然かもしれないが、私にとっては新鮮で、新しい聖さんを発見できたようで嬉しい。
母も幸せそうだし、雅臣さんと一緒になれたのは本当によかったと思う。家族っていいものだとつくづく感じながら、私はすっかりハマってしまった梅酒に口をつけた。
実は、皆お酒を飲んでいるものだから私もそのうち物足りなくなってきて、小夏からもらった例のものをちびちびと嗜んでいる。たっぷりの氷で薄めて、一気に飲まなければ眠くならないと気づいたのだ。
小夏が言っていたような誘惑はもちろんする気はないが、とても気分よく楽しめているので彼女に感謝しよう。