義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
それにしても、適度に酔っ払うって本当に気持ちがいい。いろいろどうでもよくなってくるな。
「お酒ってすごいねぇ。やなことがあったとき、お酒に逃げる大人の気持ちがよーくわかったよ」
「それはあんまりわかってほしくないような……」
ゆっくり階段を上りつつ舌足らずな調子でしゃべる私に、聖さんが苦笑する。
「成人式のあとも小夏たちと飲めそうだなぁ。楽しみ~」
えへへと笑って言うと、聖さんが一瞬足を止めてこちらを振り向いた。ん?と彼を見上げて首をかしげると、その表情は若干険しいものになっている。
「禁止はしないけど、絶対に飲み過ぎないように。帰りは俺が迎えに行くから」
「はーい」
「本当にわかってる?」
「ん」
しっかりと頷いたのに、彼は疑いの眼差しを変えず「明日もう一度言おう……」と呟いた。やっぱり過保護だなと思うけれど、まあアルコールデビューしたばかりだし心配にもなるか。
そうこうしているうちに自室の前に着き、腰に回されていた彼の手が離れていった。私はドアを開いてひらひらと手を振る。
「ありがと、聖さん。じゃあねーおやすみぃ」
挨拶してふらっと中へ進み、ベッドのそばに敷いた毛足の長いふわふわのカーペットの上に膝をつく。そのままそこへダイブしようとしたところで、聖さんがすぐに駆け寄って腕を掴んだ。