義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 ぎこちなく挨拶を返して、ダイニングテーブルの定位置、聖さんの隣に座った。

 テーブルにはおせちが置かれ、雅臣さんはお正月の特番を見てくつろいでいる。お出汁のいい香りがするから、母がお雑煮を作ってくれているのだろう。

 それらを食べる前に、私は聖さんの袖をくいっと引っ張って控えめな声で告げる。


「あの、昨夜はごめんね」


 とりあえず介抱してもらったのは確かなので謝ると、彼は特に気にしていないように首を横に振る。


「いいんだよ、酔っ払ってる六花も面白かったしね。でも、外で飲むときはくれぐれも気をつけて」
「はい……」


 優しく諭されて、私は従順に頷きつつ考えを巡らせる。

 聖さん、いたって普通だ。この調子だと、やっぱりあれは夢だったのかな。

 狐に摘ままれたような気分で軽く首をかしげていると、キッチンから「できたわよー」と母の声がした。お雑煮を取りに来てという合図だろう。

 私が腰を上げようとするより先に、ひと足早く聖さんが反応する。立ち上がった彼は私の肩に手を置き、さりげなく耳元に顔を近づけてきた。
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