義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
急に接近されてドキッとした瞬間、彼は私にしか聞こえない小さな声で囁く。
「好きでもない男に、あんなふうにされたらダメだよ」
え?と聞き返そうとしたときには、彼はキッチンに向かっていってしまい、私はひとりぽかんとする。
〝あんなふうに〟って……絶対あのアクシデントのことだよね? 夢じゃなかったんだ!
現実なのだと確信した途端、みるみる顔が熱くなる。
でも、今の言葉を聞いてなんだか納得した。昨夜のあれは、男の人の前で酔ったらああいう危険な状況になる場合もあるんだよと、身をもって教えてくれたんじゃないだろうか。
きっとそうだと思うと安堵に似た感覚を覚えるも、少し残念な矛盾した気持ちが入り交じる。
ほかの男性にあんなふうにされたら恐怖でしかないけれど、私にとって聖さんは好きな人だから、まったく嫌ではないんだよ。
心の中で本音を呟くと共に、彼の言う通り外でお酒を飲むときは気をつけようと自分を戒め、私もキッチンへ向かった。