義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「大丈夫だよ、六花ちゃん。凶が出る確率はわりと高いらしいから」
「そうなんですか!? でも私、初めて引いた……」
「逆にいいかもしれないわよ」


 適当すぎるフォローをする母に目を据わらせたあと、「聖さんは?」と問いかけて彼のほうを見やる。彼は開いたおみくじをぴらっとこちらに向け、不敵に口角を上げる。


「大吉」
「ズルい!」


 最高の運勢に嫉妬して口を尖らせる私に、聖さんはおかしそうに笑い、宥めるように頭にぽんと手を置いた。


「凶はこれ以上運気が下がらないから、あとは上がるだけって聞いたことない? それに、大事なのは書いてある内容だよ」


 手に持ったおみくじを指差され、とりあえず読んでみるかと目を落とす。一番気になるのは、やっぱり恋愛に関する部分。

〝今の人が最上、迷うな〟

 自然に目がいったそこには、いいのか悪いのかすぐには判断できない一文が書かれていた。

〝今の人〟って、付き合っている人がいない私にとっては、好きな人だと捉えていいんだろうか。聖さんを好きなまま、諦めなくてもいいってこと……?

 もちろんここに書いてある通りになるとは思っていないが、先日の小夏の言葉も相まって、なんとなく背中を押された気分になる。
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