義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
私の両親は覚えてもいないくらい幼い頃に離婚し、母子家庭で育った。小学四年生頃に東京から母の実家があるここ軽井沢に引っ越して、祖父母が生きている間はなにかと援助してもらったが決して裕福ではない。
私自身も高校からずっとコンビニでバイトをしている。時給は高くないが、少しでも家計の足しになればと思って。だから、家庭教師を雇う金銭的余裕はないはずだったのだ。
ところが、聖さんは『私の息抜きのひとつですから、お金はいりません』と、なんと無償で引き受けてくれたのである。御曹司故の余裕なのかもしれないけれど、私たちからすればありがたすぎる話だった。
彼は学校の先生よりもわかりやすく丁寧に教えてくれるので、受験はすべてうまくいった。それは、いつの間にか恋していた聖さんに少しでも好印象を与えたくて、勉強を頑張っていたせいでもある。
受験を終えた現在もなにかと理由をつけて会っているのは乙女心からなのだが、今日の課題は本当に苦しんでいる。
「なんでパワポ使わなきゃいけないんだろ……私、こういうの疎いのに」
栄養管理学の研究結果をまとめ、パワーポイントを作成している途中の画面を見ながらため息をついた。