義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「確かに、書いてあるのは悪いことばっかりじゃないかもね」
口元を緩めてひとり言をこぼし、聖さんに目線を戻す。
「大吉にはどんなことが書いてあるの?」
「ああ、見る?」
ためらいなくおみくじを渡され、なにげなく聞いた私のほうがちょっぴり躊躇してしまった。
おみくじって人に見せていいものだっけ?と思いつつも、気になるので見させてもらうことにする。
「さすが大吉、願望は叶うって」
「それはよかった」
「争事は〝控えたるがよし〟」
「弁護士には無理な内容だな」
苦笑する聖さんと一緒に私も笑いつつ、いろいろな項目を目で追っていく。しかし、縁談の欄を見て笑顔が強張った。
〝多くて困ることあり。静かに心を定めなさい〟
多くて困る!? うそ、そんなに結婚の話が舞い込んじゃうの? 聖さんがモテるのは百も承知だし、年齢的にもそろそろしたほうがいいんだろうけど……。
これから聖さんがお嫁さんを迎える姿も見ることになるかもしれないのか。そうなったら、義妹としてちゃんと喜べるのかな、私。
ついさっき心にうっすらと差した日の光は、あっさりと雲に覆われていく。