義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
再び複雑な気持ちになっておみくじを見下ろしたとき。
「えっ、水篠先生?」
驚いたような声が聞こえて目線を上げると、顎の下辺りで黒髪が揺れる二十代半ばくらいの女性が立っていた。クールビューティーな顔立ちで、凛とした雰囲気を漂わせている。
「あれ、碓氷さん」
聖さんもそう返して、ふわりと笑みを浮かべた。こちらに近づいてきた彼女と、「あけましておめでとうございます」と新年の挨拶を交わしている。
「まさかここで碓氷さんに会うとは。そういえば、実家がこっちだと言っていましたよね」
「そうなんです。妹と来たんですけど、今あの子はお手洗いに行っていて。新年早々、先生とお会いできて嬉しいです」
碓氷さんというらしい女性は、うっすら頬を染めてキラキラとした笑顔で聖さんと話している。彼も敬語になっているし、仕事関係の知り合いだろうか。
なんとなく、彼女からハートが舞っているように感じるのだけど……。
女の勘が働いてそわそわしながら静観していると、彼女が「先生は……」と言ってこちらに目を向けた。聖さんが私たちを紹介してくれる。