義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
あのあと、食事会を開くことになったと雅臣さんが母に満足げに言っているのを耳にした。どちらかが断るつもりならしないはず。
ショックが大きくて、初詣からの帰りの車内でも詳しくは聞けなかったけれど、結婚はほぼ確実なのだろう。
聖さんと碓氷さんの親しげな様子を思い出し、気分はさらにどんよりと沈む。そんな私を見兼ねて、小夏は明るい声で励まそうとする。
「や、でも、結婚する前ならまだ可能性──」
「ないです」
「……押し倒したりし」
「ないです」
憮然として返す私に、さすがの彼女も意気消沈して押し黙った。
いつまでもゾンビみたいになっていたら、小夏の気分も害してしまう。少し反省して、「ごめん、暗くて」と苦笑した。
いつの間にか会場の前に着いていて、二十歳を迎えた仲間が大勢集まっている。華やかかつ賑やかな彼らから、澄みきった青空へと視線を上げて冷たい空気を吸い、正直な気持ちを吐露する。
「心のどこかで、私が聖さんの一番近くにいられるんじゃないかって思ってたんだよね。たとえ義妹としてでも、彼が誰のものにもならなければまだ気がラクだったのに。でも、相手を実際に見ちゃうとさ……」