義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
小夏は眉を下げて微笑み、私の肩に手を置いて「わかるよ」と言った。やりきれない気持ちを受け止めてもらえただけで少し心が軽くなったので、小夏に感謝して私も力なく笑った。
そのとき、背後から馴染みのある声が聞こえてくる。
「なーにしょげてるの、りっちゃん。今日はとびきり可愛いのに、もったいないよ」
ちょっぴりハスキーなこの声と口調は、間違いなくアキちゃんだ。
またひとり、元気を与えてくれる人が現れた。落ち込んだ気持ちがまた少し浮上して、自然に口元がほころぶ。
「アキちゃ──」
そうして振り向いた瞬間、私は目を見開いて固まった。
「落ち込んでるなら、オレが慰めてあげる」
こちらに綺麗な笑みを向けているのは、くせ毛っぽいミディアムヘアの、細身のスーツを着こなした男性。しゃべり方も〝オレ〟になっているけれど、この美麗な顔は間違いなく……。
「アキ!?」
「な、なんで、その格好……!?」
声をあげる小夏と一緒に、私も呆然とした。アキちゃんがこの姿を見せるのは高校卒業以来だから。