義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
避暑地として有名な軽井沢は、十一月中旬の今は夕方でもかなり寒いので、母の鼻の頭が赤くなっている。
「おかえり~」
「雪乃さん、お邪魔しています」
私の後ろから聖さんも顔を覗かせると、母は明るい笑顔で「聖くん、いらっしゃい!」と返した。母にとって、彼は息子のようなものなのだ。
聖さんもまた、十年以上前にお母様を事故で亡くしているせいもあるのか、とても慕ってくれている。
「また六花が呼んだんでしょう。ごめんね、忙しいのに。よければ夕飯食べていって」
「ありがとうございます。雪乃さんの手料理、好きなんですよ。嬉しいです」
女なら誰でもドキッとしてしまうのではと思う微笑みを向けられ、母もぽっと頬を染めて顔をニヤけさせる。
「んも~相変わらず口がうまいんだから! 特大ハンバーグ焼いちゃう!」
とってもご満悦そうな母は、玉ねぎを取り出してさっそく準備を始める。聖さんスマイルは彼女の活力にもなるらしい。
母が仕事のときは私も料理をするのだが、今日のように来客がある場合は母が振る舞いたいらしいので任せている。
聖さんがお礼を言い、ドアを閉めて再びふたりきりの空間に戻る。