義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「さて、もう少し頑張ろうか」
「つらい……」
「はい、座る」


 問答無用で腕を引かれ、彼の隣に座らされた。もちろん嫌がっていても終わらないのはわかっているので、渋々作業を再開する。

 聖さんは真剣な表情になって、私と一緒に画面を覗き込んで丁寧にサポートしてくれる。

 彼はとても頭がよく、知識も豊富だ。それは弁護士としても同じで、一般民事はもちろん、離婚や相続などの家事事件や刑事事件も担当するオールマイティーな人。

 軽井沢のような地方では、特定の分野を専門として集客するのが難しいため、幅広い分野を取り扱うことがほとんどなのだそう。

 確かに都会に比べたら法律事務所は少ないのだが、それを加味しなくても、聖さんと彼の友人とで立ち上げたという水簾(すいれん)法律事務所はこの地域の人たちにとってなくてはならない場所になっている。相談に訪れる人があとを絶たず、評判を聞きつけてわざわざ隣県からやってくる人もいるらしいから。

 それはおそらく聖さんたちが、依頼人が求めていることを的確に捉えて彼らを守り抜く力や、冷静かつ巧妙な交渉能力に長けていて信頼度がとても高いからだろう。噂が噂を呼び、依頼人は増えていく一方なのだ。
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