義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 水簾法律事務所は軽井沢駅から徒歩五分の、パン屋やアパレルショップが立ち並ぶ通りの一角にある。

 緑青色の屋根にレンガ造りの二階建て。一軒家のような外観なので、初見で法律事務所だとわかる人は少ないかもしれない。

 誰でも相談しやすい、アットホームな事務所にしたいとの思いからここを立ち上げてもうすぐ二年になるが、ありがたいことに軌道に乗った状態を保っている。

 新年を迎えて数日、今日が仕事始めだ。事務所の横にある駐車場に車を停め、歩道の端に寄せられた雪が朝日で輝くのを眺めつつドアを開けると、玄関付近を掃除していた女性に明るい笑顔で出迎えられる。


「水篠先生! あけましておめでとうございまーす」
「あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします」


 元気に新年の挨拶をする彼女に、俺も笑顔で型通りのそれを返した。

 ふわっとした長い髪をルーズに束ね、愛嬌のある顔立ちをした彼女は、碓氷さんと同じパラリーガルの藤宮(ふじみや)(あかね)さん。この事務所の中では最年少の二十六歳で無邪気な性格だが、仕事ぶりは丁寧で信頼できる子だ。
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