義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
小さな受付と待合スペースの前を抜けると、パラリーガルのふたりが業務をする事務局がある。その奥が弁護士用の執務室になっており、クライアントとの相談は主に二階の個室で行っている。
事務局スペースでは、碓氷さんがすでにパソコンに向かっている。
相変わらず早いなと感心していると、彼女がこちらに顔を向け「おはようございます」と微笑んだ。初詣で会ったので、俺も普通の挨拶を返す。
碓氷さんもとても仕事ができる人で、正確に素早く対処してくれるので一目置いている。ただ、愛想が決していいわけではないのが玉に瑕だ。
来客の対応も主に女性陣がしているが、笑顔をあまり見せない碓氷さんには相談に訪れた人が委縮することが時々あるので、そのたび苦笑してしまう。俺に見せるような柔らかな表情をもっとしてもらえると助かるのだが……。
とはいえ、この少人数の職場ではフォローがしやすく、社員同士の関係も良好なのでそこまで問題はない。仕事の依頼も増える一方だし、そろそろ事務局員をもうひとり増やしたいと考えているところだ。
観葉植物とウッド調のインテリアがマッチしたカフェのような内観の事務局を通り、執務室に入ろうとしたとき、今度は元気な男の声が響き渡る。