義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「あけよろー!」
「略しすぎですよ、いい大人が」
掃除を終えた藤宮さんにさっそくツッコまれている彼は、俺の同期で弁護士の瀧光之介 。一緒にこの事務所を立ち上げた、弁護士としての手腕も人間性も信頼している相棒だ。
確実にこの事務所のムードメーカーなのだが、朝からこのテンションに付き合うのは少々疲れる。
「瀧はその軽さを今年こそなんとかしたほうがいいと思う」
「聖。俺から軽さを取っちゃったら真面目しか残らないだろ」
呆れた調子の俺に真剣にそう返してくるので、つい笑いがこぼれた。
パーマをかけたようなふわっとしたくせ毛に、純日本人でありながらハーフのような顔立ちで、この通りノリもいいものだから女性人気は高い。
チャラついていると思われがちだが、女性関係にも仕事にも誠実なのを知っているから、彼の言うことはあながち間違っていないかもしれない。
旅行に行ってきたらしい瀧が律儀に土産を配っている最中、碓氷さんが部屋の隅にあるエスプレッソマシンでコーヒーを淹れようとしているのに気づく。