義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「あ、碓氷さん、俺はこれから朝のコーヒーはいりません」
「どうしてですか?」
「一緒にコーヒーを飲みたい相手ができたので」
キョトンとして振り向いた彼女は、俺の言葉を聞いて石像のごとく固まった。
毎朝、碓氷さんが俺たちのコーヒーを淹れてくれるのが日課になっていたが、六花たちと暮らし始めてから彼女と家で飲むようになった。仕事が始まればなかなか六花といられる時間が取れないし、朝のコーヒーくらいは一緒に飲みたいと思っている。
寝起きの彼女を見るのも毎朝の楽しみなのだ。ぼんやりしたまま、甘党の俺に『コーヒーはブラック……』と呟きながら淹れてくれた今朝の姿も可愛かった。
六花を思い浮かべて口元を緩めていると、藤宮さんと瀧が興味津々で迫ってくる。
「えっ、それってもしや、彼女……!?」
「ついに聖のハートを射止めたコが? 俺なにも聞いてないんだけど」
浮き立つふたりは、碓氷さんにギロッと鋭い目線を向けられてギクリとしている。
「なんか霧子さんが怖い」
「地雷踏んじゃったみたいだね」
コソコソと話すふたり。そういえば彼らには父の再婚については話したが、同居の件は教えていなかったか。