義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
「家族皆で賑やかな生活を満喫したいって両親に懇願されて、年末から一緒に暮らし始めたんですよ。今は父の別荘が本拠地です」
説明すると、藤宮さんが肩透かしを食らったとでも言いたげな様子で肩の力を抜いた。
「なぁんだ、家族だったんですね」
「そうです、家族です。彼女じゃありません」
「そんなに必死に否定しなくても。しかも霧子ちゃんが」
軽く笑う瀧は碓氷さんに再び睨まれ、口の端を引きつらせた。
なんとなく碓氷さんからの好意は感じているが、弁護士への憧れが強いのだろう。今度行うつもりの食事会も、互いの父親にはっきりと〝くっつけさせようとするのはやめてほしい〟と説得するためなのだし。
元々、食事会などする気はなかった。結婚は父同士が勝手に盛り上がって言い出したことで、俺は『好きな子がいるからその話には乗らない』と断っていたのだ。それなのに、
『交際しているわけじゃないんだろう。もう三十歳なんだし、ちゃんと将来を見据えた相手を選んだほうがいい。とりあえず霧子さんと食事だけでもしてみたらどうだ。職場とは違う一面を見たら、気持ちが変わるかもしれないぞ』
などと強引に話を進められそうになっていて、碓氷さんもそれは避けたいと言っていた。