義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 彼女の父親も、俺にどうしても一度会って話してみたいと言っているらしい。おそらく直接話して納得してもらわない限りこの縁談話は終わらないだろうと思い、とりあえず食事会を開くことにしたのである。

 父たちに諦めてもらうためにも、俺には心に決めた人がいると宣言するつもりだ。俺が生涯守っていきたい女性は、今も昔もひとりしかいない。

 コーヒーの件が解決し、各々業務に取りかかり始める。俺も執務室へ入ると、いつものポーカーフェイスに戻った碓氷さんがタブレットを片手にやってきた。


「さっそくですが、今日は私的再建についての相談をご希望される山辺社長が十時にいらっしゃいます。あとは遺産相続の相談と離婚相談が一件ずつ、十五時半からは裁判所で民事調停ですね」
「了解。来週やる裁判の訴状、あとで渡すから校閲してもらってもいいですか?」
「わかりました」


 秘書さながらに予定を確認する彼女に仕事を頼むと、口角を上げて快く引き受けてくれた。

 水簾法律事務所の一日は、だいたいこんな調子で始まる。新年早々、案件が詰まっていて休む暇もなさそうだ。
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