別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
このままでは凛はいつまで経っても帰ると言わない。


「先生、眠くないの?」


陸人さんの膝の上から、凛が振り返って尋ねている。


「凛ちゃんと一緒だと眠くないよ。でも、今日は帰ろうか。お母さんも疲れちゃうしね」
「えー」


案の定、凛は口を尖らせている。


「絵本、好きなんだね。クリスマスに、絵本をプレゼントしたいんだけど、どうかな?」
「いいの?」
「ちょっと、凛!」


そんな、図々しい。
でも、凛にしてみれば父親からもらうプレゼントになるのか。


「もちろんいいよ。先生も子供の頃、絵本が大好きだったんだ。たくさん用意しておくから、おでこの治療頑張れるかな?」
「うん!」
「いい子だ」


優しく微笑む陸人さんは、凛の頭をそっと撫でる。


「本宮さん。また会っていただけますか?」


次に陸人さんは私に尋ねる。


「でも……」
「ママぁ。先生に絵本読んでもらいたいよぉ」


陸人さんの膝から飛び降りた凛は、私にしがみついて訴えてくる。
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