別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「……先生はご迷惑ではないのですか?」
「まさか。ずっと会える日を待ちわびていたんだ。迷惑なわけがない」


待ちわびていたなんて……。
彼の目は真剣で、愛されていると錯覚してしまいそうになる。


「ママ、ダメ?」


眉間にしわを寄せる凛を見て胸が痛んだ。

凛の願いは叶えてやりたい。
いや、本当は私が彼に会いたいんだ。


「わかった。でも先生、患者さんがいっぱいいると、お約束の日に会えないかもしれないよ。それは我慢できる?」


付き合っていた頃、夜中に多重衝突事故があり、どうしても手が足りないと呼び出されて飛んでいったこともあった。

大人は理解できても凛にはまだ難しいと思い、あらかじめ伝えた。


「する! でも違う日に会える?」


凛はおそるおそる陸人さんに質問している。


「もちろん。ありがとね、凛ちゃん。先生、楽しみができたからお仕事頑張れそうだよ」
「頑張れ!」


思いきり上からの凛の応援に、陸人さんは噴き出している。

でもその笑顔が弾けていて、これでよかったのかなと感じた。
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