別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「凛ちゃんは優しいね。先生がきっと治すから。凛ちゃんもテープはがしたらダメだよ。約束」


陸人さんが小指を出すと、凛が指を絡めて口を開いた。


「指切りげんあん、嘘ついたら針千本飲ーます」
「あはは。げんまんだぞ」


陸人さんは笑いながら凛の頭を撫でた。

そして「それじゃあ、また」と名残り惜しそうに帰っていった。


「ママ、先生すごーい。おっきいくまさんいるし、ケガも治すって。魔法使いかなぁ」
「魔法使い……。そうね、そうかも」


彼はいつも私に幸せの魔法をかけてくれる。
凛の言う通りかもしれないと思った。
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