別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
こうして声だけでも陸人さんとつながれるのがうれしいのだ。
忘れると決意して離れたのに、心はずっと彼を求めていたのかもしれない。
あっという間に正月を迎え、二日。
霜が降りるほど寒い朝、陸人さんが凛を迎えに来てくれた。
「先生!」
「おはよ、凛ちゃん」
陸人さんの姿を見つけた凛は駆けていき飛びついている。
「くまも持ってくの?」
「凛のお友達だもん」
自分より大きなぬいぐるみをどうしても持っていくと聞かない。
「そっか。お友達は大切だもんな。先生も凛ちゃんくらいの頃、いつも一緒にいたお友達がいたよ」
それって、私?
陸人さんの話を聞いていると、兄も含めて仲がよかったようだし。
でも、思い出せないのがつらい。
「おはようございます。よろしくお願いします。お弁当作ったんですけど、よければ」