別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
今日は食彩亭も休みだし、きっと昼食に悩むと思って慌てて作ったのだけれど、もう準備をしてるだろうか。


「すごく助かる。昼飯だけが心配だったんだよね。でも、かえって大変だったか。ごめん」

「いえ。料理は好きなので」


そう言うと、彼は「知ってる」と微笑んだ。


「凛。いい子にしててね。先生を困らせちゃダメよ」
「はーい」


私とは違い人見知りをあまりしない子ではあるけれど、こんなに早く心を開いたのは、彼の優しさが伝わっているからだろう。


「凛、陸人さんにすっかりなついたみたいで」

「それはあれだ。プレゼント攻撃が効いただけさ。もっと仲良くなれるように頑張るよ。心春も送るから乗って」


お言葉に甘えた私はチャイルドシートに収まった凛の隣に座り、会社まで送ってもらった。



仕事を終えると、陸人さんのマンションに急いだ。
エントランスでチャイムを鳴らすとすぐに陸人さんが対応してくれる。

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