別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
それから私たちは、ふたりで保育園へのお迎えに向かった。


「先生!」


門から駆け出てきて陸人さんにしがみつく凛の姿を、園の先生が不思議そうに見ている。


「初めまして。凛ちゃんの主治医をしている天沢と申します」
「あぁ、だから先生なんですね」


担任は納得しながらも、まだどこか腑(ふ)に落ちない顔をしている。

それもそうだ。主治医がお迎えなんておかしいもの。


「今後もお邪魔させていただければと。あの……園の行事に参加させていただくことはできませんか?」


陸人さんの発言に驚いたものの、全力で父親の役割を果たしてくれようとしているのが伝わってきてうれしい。

いろいろ察しただろう担任は、私の顔をちらっと見てうなずく。


「お待ちしています。もうすぐお遊戯会がありますので、ぜひ。凛ちゃん、お姫さまやるんだよね」

「そうなの?」


そんな話は初耳なので凛に尋ねる。
< 255 / 335 >

この作品をシェア

pagetop