別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「だって祐くんが王子さまだもん」


あたり前のように返す彼女にほっこりする。
これは初恋かも。


「祐くん?」


陸人さんが首を傾げると、凛は再び園舎にすっ飛んでいき、なんと祐くんを連れてきた。


「祐くんだよ」


凛の恋人紹介が始まった。
担任も承知しているようで、温かな目を向けてくれる。


「そうか。祐くん初めまして。凛ちゃんのおでこの先生だよ」


陸人さんがしゃがんで挨拶をすると、祐くんが身を乗り出してきた。


「凛ちゃんのケガ治る?」
「治るよ、もちろん」
「ほんと?」


陸人さんの返事にくりくりの目を大きくして白い歯を見せる祐くんは、優しい心の持ち主だ。
陸人さんに似ているかも。


「ほんとだよ。凛ちゃんと仲良くしてね」
「うん! 凛ちゃん、バイバイ」
「バイバイ」


あぁ、子供って純粋で素直だ。
うれしいときはあからさまに頬を緩め、心配なときは眉尻を下げる。
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