別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
大人になると遠慮したり我慢したりすることが増えて、簡単には表情に表せなくなるのに。

陸人さんと私も、幼い頃はこうだったのかな。

同じものに共感して微笑み合い、結婚を約束したなんて、我ながらなかなかロマンチックだ。

凛と手をつなぐと、陸人さんはもう片方の手を自然とつないでいる。

凛はそれがうれしいのか笑顔が絶えず、私の顔もほころぶ。


「先生、お遊戯会来る?」
「うん、行こうかな。凛ちゃんのお姫さま見たいなぁ」


仕事は大丈夫なのだろうか。


「凛、祐くんと結婚するの」
「ん?」


いきなりの結婚宣言に驚いて凛の顔を見ると、ちょっと照れくさそうにしている。


「王子さまとお姫さまは結婚するの。だから、大きくなったら祐くんと結婚する」


お遊戯の話かと思ったのもつかの間。
本気の結婚宣言に、陸人さんと顔を見合わせた。


「そっか。祐くんのこと好きなんだ」
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