別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
はちみつケーキで仲直り
食品会社を退職したあと、絵麻にも電話を入れた。

すべてを打ち明けて凛の存在も話すと、『なんで相談しないの!』と叱られたが、電話口の彼女が泣いているのがわかった。


「心配かけてごめんね。絵麻」
『ううん。心春、よく頑張ったね。うちも三歳の女の子がいるんだよ。ひとりで育ててたなんて信じられない』


そうか。この四年の間に、絵麻も新しい家族ができたのか。


「同じ歳なんだ。……育児ってしんどいよね、結構」
『そうそう。愚痴らないとやってられない。落ち着いたら、凛ちゃん連れて遊びにおいで』
「ありがとう」


彼女にもなにも告げずに消えたのに、こうして温かく迎えてくれるのには感謝しかない。


『天沢さんってあのときの男の子かも……』


絵麻が意味ありげなことを口にするので首を傾げる。


「あのときのって?」

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