別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
けれども、陸人さんという理解者がそばにいてくれれば、強く生きていける。


「陸人さん……」


私は体を回転させて彼の胸に飛び込んだ。

強く抱きしめられると、張り詰めていた心が緩んでいく。


「もう俺が守るから。つらいときはつらいと言って。ずっと一緒にいる」
「はい」


どちらからともなく重なった唇は、とびきり熱くて溶けてしまいそうだった。


私を労わるように体を洗ってくれた彼に、そのまま抱かれた。

丁寧な愛撫のあと、脚を持ち上げられてつながった瞬間、体に甘い疼きが走り抜ける。

声が漏れそうになるたびに、彼が唇でふさいでくれた。「痛くない?」と何度も確認しつつ進む彼に、優しく体の隅々まで愛されてたまらない幸福で満たされた。


「好きだ」


彼の口から紡ぎだされる愛のささやきが、私の心に充満していく。


「陸人、さん……。好き」
「結婚しよう。もう一生、俺だけのものだ」


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