別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「俺では話にならないと思ったんだろうな。心春に会わせろとしつこくて。結婚を認めてくれなければ会わせない。心春を傷つけるようなことがあれば、俺はもうこの家の敷居を二度とまたがないと宣言したんだ」

「そんな……」


そこまでの覚悟をしてくれていたなんて。


「俺には心春と凛という守るべき人ができたんだから当然だ」


彼は私の肩を抱き寄せて言う。

私も守られるだけの人生ではなく、陸人さんと凛を守れるくらい強くならなくては。

そんな思いが込み上げてくる。


「実家に呼び出されたんだとピンときて、凛ちゃんと少し話をした」
「凛と?」


どんな?

はやる気持ちを抑えながら彼の顔を見ると、かすかに口角が上がった。


「『先生は凛ちゃんのお母さんがずっと昔から好きだった。凛ちゃんが許してくれるなら結婚したいと思っている。大切で特別な人なんだ』って」
「えっ……」


< 301 / 335 >

この作品をシェア

pagetop