別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
だから凛は彼の実家で私たちの結婚をあと押しするような発言をしたのか。


「そうしたら、『凛は祐くんと結婚するから、先生はママと結婚してもいいよ』って。結婚を許されてうれしいのに、娘を奪われた複雑な心境だった」


苦笑する彼は、私に視線を送って微笑む。


「それで実家に走ったんだ。『パパが欲しいの!』というひと言は、うれしかったなぁ。心春と結婚したいとは話したけど、父親にしてほしいなんて言わなかったのに。あのとき、絶対に幸せにすると改めて心に誓った」


そうだったのか。

私と陸人さんが結婚したら、彼の両親が祖父母になることにはピンと来ていなかったのに、陸人さんがパパという存在になるのは承知していたんだな。

その上で結婚を認めてくれたのだろう、きっと。


「これから全力で、夫と父になる。凛ちゃんに本当のパパだと胸を張って言えるようにする。だから、俺の隣にいてほしい」

「はい」


私の返事にうれしそうにうなずいた彼は、優しいキスを落とした。
< 302 / 335 >

この作品をシェア

pagetop