別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
治療のときに注意散漫になるのもよくない。
救急という最後の砦(とりで)のような役割を果たしているのだから。


「ああ、大丈夫。深く寝たからもう平気」


うーんと伸びをして凛を抱きしめた陸人さんは、「どこの公園行く?」と凛と会話を始めた。

どうやら公園行きは免れそうにない。


「心春。おやつ持って」
「わかりました」


着替え始めた陸人さんに指示をされて、クッキーとドーナツを袋に詰め、私たち用にホットコーヒー、そして凛のためのお茶を水筒に準備した。

凛はこのちょっとしたピクニックが気に入っていて、まだ寒空が広がっているのに行きたがるのだ。

陸人さんにコートを着せてもらった凛は、彼と手をつないでニコニコ顔だった。


「陸人さん、ごめんなさい」
「問題ない。心春だって働きながらここまで育ててくれたんだろ?」


凛の頭を撫でる彼は、にっこり微笑み私たちを促した。


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