別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
いつも私と通う近所の公園ではなく、広い芝生広場がある公園は、凛のお気に入りだ。

駐車場で車を降りると、あたり前のように右手を陸人さん、左手を私に差し出した凛は、ぴょんぴょん飛び跳ねている。

親子三人で公園に繰り出すという、ずっと望んでいた光景が実現して感激ではあるけれど、忙しい陸人さんが無理をしていないか心配だ。

とはいえ、彼も笑顔が弾けていてホッとした。


芝生広場に到着すると、寒さのせいで冬枯れしている芝生の上でボール遊びを始めた。

陸人さんに投げ方を教わってから夢中なのだ。


「ここだ」


凛から少し離れて声をかける陸人さん。

しかし、まだ投げるのがやっとでコントロールが効かない凛のボールは、とんでもない方向に転がっていく。


「上手になってきたぞ」


ボール拾いが大変なのに凛を褒め続ける陸人さんの姿を見て、子育てはこうあるべきかもしれないと反省した。

< 306 / 335 >

この作品をシェア

pagetop