別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
彼女はキッチンに行って、私が差し入れしたばかりの肉じゃがを持ってきた。
そして、なぜかニッと笑う。


「連絡先聞いたんだよね」
「……うん」
「今すぐ電話して。お礼に肉じゃが作りましたって」


えっ!
それはハードルが高すぎる。

ふるふると首を振ったのに、絵麻は引かない。


「素敵な人だと思ってるんでしょ?」

「それは、そうだけど……」

「心春からの電話、待ってるんじゃない?ほかに好きな人がいるなら、安易に電話番号渡したりしないよ。あっちは心春に連絡取れないんだから、心春が電話するしかないじゃない」


押しの強い絵麻だけど、彼女の結婚式に出席したとき、『心春も幸せになるんだよ』とブーケをくれたくらいなので、心配してのことだとわかる。


「うん……」
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