(続)頼くんを堕とす方法
見ると、理乃ちゃんの振り上げたほうの手首を掴んでいた。




「頼先輩なんでっ?…止めないでよ…」





理乃ちゃんの目には涙が浮かび、振り上げた手はゆっくりと下ろされた。





「理乃……もういいだろ」



「よくないです!…よくないんですっ」



「…わかった。じゃ俺が代わりになるから、俺のこと叩いて」



「っ……なんで…」






俯いた理乃ちゃんからは、たくさんの雫が落ちていき、地面に模様が作られていく。




「…うざったいけど、大事にしたいから…莉子のこと」





そう言った頼くんは、わたしの頭に手を乗せて笑った。
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