マリアの心臓
大丈夫、わかってる。劇を続けろってことね!
エイちゃんのことは、あと回し!
「どうして、衛さまがこんな子のために……」
「ねえ、まだ返事を聞けてないよ」
「え?」
「アタシは、あなたの一番になれますか?」
至近距離で彼女を見つめ続ける。
ヒトのほっぺがあんなにも灯り、弱々しくふやけていく様子を、間近で目の当たりにしたのは、はじめてだ。
「どうしてそんなにかわいいの?」
「っ!」
「ずっと、ドキドキしてる」
あ、つい本音が。
だってかわいいって思っちゃったんだもん。
劇に初出演したのも相まって、身体がぽかぽかしてる。
真っ白な鳥籠の外には、刺激的で、色鮮やかな出会いが、いっぱいだったんだね。
「衛さまがいるのに、あんたって……」
「ん?」
「~~っ、……はああぁぁ」
はくはくと開閉する彼女の口から、しばらくして、長く深い息が漏れていった。
「……もう、いいわ」
いい……? いいって!? 何が!?
イエス!? ノー!? どっち!?
物語はどうなっちゃうの!?