マリアの心臓
恋した人
『ん。やくそく!』
『ずうっといっしょだよ!』
とても小さく、柔な小指。
ぴったりとつながれば、そこに運命が宿った気がした。
それまで泣いていたのが嘘のように、無邪気に笑いあった。
――『いっしょう、まもってやる!』
あの、幼く、一途な約束。
あなたは、憶えていますか……?
「んん……、」
目を覚ますと同時に、ぽろっと、涙がこぼれた。
なにか、夢を見ていたような……。
何だったっけ……。
頭の中が空っぽなようで、ぐちゃぐちゃでもあるような、ふしぎな感覚。
寝起きなせいかな。
ぼんやりとしたまま、学校へ行く準備を始めた。
「……あっ、そうだ」
いただきます、と手を合わせたすぐあとのこと。
重なった指を見て、夢のことを思い出した。
この身体の持ち主――優木まりあと、エイちゃんの思い出だった。
小さくてかわいらしいふたりが、何か、約束をしていた……と思う。
「まりあ? どうかしたの?」
「心ここに在らず、だな」
愁眉の両親に、内心「しまった」と思った。
ただでさえ、昨日保健室行きとなり、帰宅後はそれはもう心配されまくった。
無理はしないって、ゆびきりしたのに。
アタシは、いつも、約束を守れない。