マリアの心臓



ほかほかでぜいたくな朝ご飯を、お米ひと粒残さずきれいに平らげ、家を出発した。

結局、「水附衛」という人物については解明されずじまい。

だけど、それでよかったのかもしれない。



誰かから聞くより、自分で見て、知るべき……だよね。


そのヒトは、会える距離にいるんだから。




学校が目と鼻の先に見えた、そのとき、

ブオオオン!!

と、すさまじい突風が横切った。



「っ、あ……!」



ぶわりとなびくツインテール。

その隙間を縫うように、今日の空のように青く澄んだ瞳を、見つけた。


ブオオオン! ブオオオン!
空を切り裂くエンジン音が、瞬く間に遠ざかっていく。


巨大なバイクだった。

それにまたがっていたのは、まちがいなく、




「エイちゃん……」




目が合った。

そんな気がしたのは、アタシだけ?




「きゃー! 衛さまー!」

「今、わたし、目が合った!」

「え!? うちだよ! うちのこと見てたの!」




……アタシだけじゃありませんでしたね!?


前方に女の子たちがたくさんいたんだ! 気づかなかった!

あの子たちのことを見てたのかも! 勘違い、恥ずかしい!




「バイク追っかけよ!」

「衛さまと話せるチャンス!」

「他の神亀の方々にも会えないかな!?」




ん? ジンキ?


前方の女の子たちの会話に、好奇心をくすぐられる。

そういえば、昨日の劇でも、そんなワードがあった。


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