マリアの心臓
かわいすぎて見惚れてしまう。
あ、もちろん、優木まりあ、あなたもかわいいよ!!
みんな、かわいい!
そんなかわいい子に告白されているのは、どんなお方なのかな。
好きって伝えたあとは、どうなっちゃうのかな……?
これが野次馬根性とやらなのか。
恋愛ビギナーゆえの探究心なのか。
おじゃま虫だと百も承知で、身勝手ながら告白を見守らせていただくことに。
草木に隠れて見えずにいた、告白相手の男の子が、一歩、距離を縮めた。
ほのかなピンクが、視界に舞いこむ。
「あれ……ウノくん?」
桜の色素をろ過したような、あの髪色。
まちがいない。
ウノくんだ。
でも……カノジョさんいた、よね?
なら、告白の結末はもう……
「告白してくれてありがとな。でも……」
「カノジョとは別れたって聞いたよ?」
……えええ!?
別れた!? 本当に!?
1週間前、教室でイチャついてたよ!?
「あー……ハハ、情報早ぇな」
「恋愛沙汰のうわさは特に早いよ」
「さすがっすね、センパイ」
ほ、本当に別れちゃったんだ……。
何か、あったのかな。
何かが起きなきゃ、関係が途絶えたりしない、か。
……やっぱり、どこにも、永遠なんてないんだね。