【完結】カルティナ姫と三人の王子〜目が覚めたら婚約者が三人いました〜


 わたしはカルナさんに、そう提案する。

「はい!ぜひ」

 カルナさんは嬉しそうに笑う。

「行きましょう、カルナさん」

「はい」

 わたしとカルナさんは、中庭へと出た。

「あの、カルティナ姫」

「はい」

 カルナさんの方に振り向くと、カルナさんはわたしの頬にそっと優しく触れる。

「僕は、あなたが好きです」

 真剣な眼差しで見つめられると、いつになくドキドキしてしまう。

「……ありがとうございます」

 好きって言われると、やっぱり嬉しいんだ。わたしをこんな気持ちにさせてくれるのは、あの三人だ。
 あの三人しか、いないのかもしれない。

「僕にはもう、あなたしかいません。 だからカルティナ姫、僕を選んでくださいませんか?」
 
 やっぱり三人の中の誰かを選ぶなんて、わたしには残酷すぎる。 みんな優しくて、みんないい人だから。
 誰か一人を選ぶなんて、わたしに本当に出来るのだろうかーーー。

「二人からももうプロポーズをされているかと思いますが、僕もあなたとの結婚を強く望んでいます。……どうか、ご検討を」

 そしてカルナさんは、わたしの手の甲にキスをした。
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