【完結】カルティナ姫と三人の王子〜目が覚めたら婚約者が三人いました〜


「あの、ルイトさん。今日は、ありがとうございました。 色々と話せて、良かったです」

 ルイトさんはそんなわたしに「僕も楽しかったです。あなたとこうして二人で過ごせる時間は貴重ですし、いいお話が出来ました」と言ってくれた。

「ルイトさん……」

「僕はあなたとの将来しか見えていませんよ? あなたとの明るい結婚生活を、夢見ています」 

「……はい」

 これからじっくりと、真剣に考える。わたしが本当に結婚したい相手を。
 誰と幸せになりたいのかを。その未来に向けて、わたしはもう走り出している。

「カルティナ姫」

「……はい?」

 ルイトさんはわたしに優しく微笑みかけ、わたしの頬にそっと触れる。

「僕はアレンみたいに、あなたに強引にキスはしません。……でもあなたとキスしたいという気持ちは、常に心にはあります」

「……え?」

「でも僕は、あなたにキスはしません。……そんなことをしたら、ますますあなたを手に入れたくなってしまうからです」

「……あのっ」

「だから僕は、最後まで健全な男でいようと思います。……ではカルティナ姫、今日はここで。また会いましょう」

 ルイトさんはそう言って、わたしの前から歩き出した。
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