【完結】カルティナ姫と三人の王子〜目が覚めたら婚約者が三人いました〜


 シアノア……。あ、思い出した……!

「シアノア島……思い出し、ました」

 確かにお父様とわたしは、十一歳の時にシアノア島に旅行に出かけたことがあった。
 確かにその時、シアノア島でわたしは、寂しそうな目をした一人の男の子に出会っていたーーー。

「ルイトさんが、あの時の……。あの日出会った、男の子?」

「そうです。 あなたは落ち込んでいる僕に、可愛らしい笑顔を向けて、キャンディとチョコレートをどうぞとくれたんです」

 そうだ。あの日わたし……。ルイトくんにイチゴ味のキャンディと、チョコレートをあげたんだ。
 悲しそうな顔をしたルイトさんを見て、なんか元気づけてあげたいと思ったんだと思う。

 確かにルイトさんは、表情は笑っているようにも見えた。……でも目は確かに、笑っていなかったかもしれない。
 それは……自分が捨て子だと、知ってしまったからだったんだ。
 その事実を知らなかったわたしは、何て言葉を返したらいいのか、分からなかった。

「その時僕は救われました、あなたの笑顔に。……もしかしたら僕は、あの時からすでにあなたに恋をしてしまっていたのかも、しれません」
< 17 / 164 >

この作品をシェア

pagetop