【完結】カルティナ姫と三人の王子〜目が覚めたら婚約者が三人いました〜
シアノア……。あ、思い出した……!
「シアノア島……思い出し、ました」
確かにお父様とわたしは、十一歳の時にシアノア島に旅行に出かけたことがあった。
確かにその時、シアノア島でわたしは、寂しそうな目をした一人の男の子に出会っていたーーー。
「ルイトさんが、あの時の……。あの日出会った、男の子?」
「そうです。 あなたは落ち込んでいる僕に、可愛らしい笑顔を向けて、キャンディとチョコレートをどうぞとくれたんです」
そうだ。あの日わたし……。ルイトくんにイチゴ味のキャンディと、チョコレートをあげたんだ。
悲しそうな顔をしたルイトさんを見て、なんか元気づけてあげたいと思ったんだと思う。
確かにルイトさんは、表情は笑っているようにも見えた。……でも目は確かに、笑っていなかったかもしれない。
それは……自分が捨て子だと、知ってしまったからだったんだ。
その事実を知らなかったわたしは、何て言葉を返したらいいのか、分からなかった。
「その時僕は救われました、あなたの笑顔に。……もしかしたら僕は、あの時からすでにあなたに恋をしてしまっていたのかも、しれません」