【完結】カルティナ姫と三人の王子〜目が覚めたら婚約者が三人いました〜
マロミさんはホースの水を止めながら、そう言ってくれる。
「ええ。優しいのよ、みんな」
婚約者の一人だけれど、早く結婚する人を決めないとと、わたしは内心焦っているのだけれど……。
あまり時間が、なさそうだわ……。
「姫様のお決めになったお相手でしたら、わたくしは応援致しますよ、姫様」
「……ありがとう、マロミさん」
マロミさんはわたしにとって、お母さんみたいな人だ。 マロミさんは優しくて、お料理が上手で、家事も上手くて、本当に尊敬することばかりだ。
「ねぇ、マロミさん」
「はい?何でしょうか?」
「今度、シフォンケーキを作りたいのだけど」
前に作ったチーズケーキも美味しくてよく出来たけど、今度は違うものに挑戦してみたくなった。
わたしはあまり料理が得意ではないけど、何か一つ得意な物を見つけておきたいなあ、とは思う。
もちろん、将来のために。素敵な旦那様に、美味しい食事を作ってあげたい。
「シフォンケーキですね。かしこまりました」
「ありがとう、マロミさん」
「いいえ、何なりとお申し付けくださいませ」
マロミさんは、本当にお母さんみたいだ。